9tree『Voice』リリース【Part.1】エネルギーの旅路と融合により生まれた声

「多面的な代弁者」をテーマに活動してきたAlternative HipHop Crew・9treeが2025年3月、活動休止を発表。前年12月にリリースされたシングル『Voice』が、休止前最後の作品となった。

心の奥底から湧き上がる苛立ちやフラストレーションのような鋭さと、自らを表現する術として見出した「音楽」への喜びと覚悟が刻まれた楽曲。自らの弱さを見つめる視線、過去を振り返り、未来への不安を噛みしめるその反芻の中で、「自分の人生をどう生きるのか」という圧倒的な問いの存在に気づかされる。

 


活動1年目にして、長野県松本市で開催される野外音楽フェス「りんご音楽祭 2023」や、山口県最大級のヒップホップフェス「CHOSHU BEATS 2023」へ出演を果たす。勢いはとどまることを知らず、「CHOSHU BEATS 2024」をはじめ、各地の野外フェスへの出演を重ね、東京を拠点に100本以上のライブに出演してきた。

2024年1月に発生した能登半島地震を機に、「燈」プロジェクトを発足。深い信頼と共鳴のもと、10名のアーティストによるマイクリレー形式の楽曲を制作・リリースした。さらに、同年12月には恵比寿 TimeOut Café & Diner にて『“燈” Release Event – Pray for ISHIKAWA – presents by 9tree』を開催。楽曲制作に携わった全アーティスト、ファン、仲間とともに集い、被災地への祈りを捧げた。

「魂が喜ぶからやってるんだけど、どんな音楽を、何のために、なぜこの限りある今世の身体でやっていくのか。なぜこの人生を選択しているのか。 なぜこの人生に誘われて、今を生きてるのか。」

彼らにとって「9tree」とは、ユニット名であると同時に、行き場のない思いやエネルギーを表現する場所であり、人生のフェーズであり、自然発生的な概念であり、創造し続けてきた空間でもあった。

その「9tree」という存在に迫ると同時に、メンバーそれぞれの人生、そして9treeとの関係性を紐解いていく。

9treeが紡いできた音楽とその背景を通して、「自分の人生をどう生きるのか」という問いを、あなたはどう受け止めるだろうか。

MC:DAI, K’z Tyler
Back DJ:Mahae

>>『燈』プロジェクト『『燈』リリースイベントとチャリティーTシャツに込めた想い』について読む

リリース情報

『Voice』
リリース日:2024年12月27日(金)
配信リスト

 

音楽がつないだ3人のエネルギー

実はこれまで数回お話させていただく機会がありましたね。9treeさんはメンバー各々大切にされていることがありながらも、それらが融合し、唯一無二の音楽を作り上げられているように思います。「9treeとは?」を知るためには、まずはお一人お一人について聞いていきたいのですが、それぞれ「音楽との関係性」はどのように始まったんでしょうか?

DAI:ちっちゃい頃から音楽はめっちゃ好きで、MDプレイヤーとかラジオとかで聞いてました。歌も、簡単なコードだけでギター弾いて、家でわーって歌って、親に「うるさい」と言われたりで、あんまり歌うことに対して寛容な家ではなかったけど(笑)高校の頃、1回文化祭でノリでコピーバンドをやって、2人でギター弾いて、ゆずの曲歌って、みたいなのはありましたけど、それ以外は音楽活動とかはまったくでしたね。

会社員2年目の時、高校、大学の後輩のクマって友達が、「DAIくん、俺は世界で活躍するアーティストになります」ってめっちゃ熱い眼差しで、覇気ブンブンみたいな感じで、今まで音楽経験がない彼が、バーンって言ってきて。「この歳からでも、音楽で世界で活躍することを、心から信じてる熱いやつがいるんだな」と、雷みたいな大きな衝撃と溢れる希望の光が差すのを感じました。

俺も、ちょうどモヤモヤしてて冷めてた時期で。営業してたけど、時に本心ではない言葉や心で仕事をしてたんです。お客さんにも誠意を持って関われないし、残業しまくって、何のために生きてるんだろうって。(ただ、もちろん感謝してます。大切なことをたくさん教えてもらいました。)学生の頃、かなり情熱的に社会活動したり、自分の信じたことに真っ直ぐに生きてたので、会社員になってから自分の純粋なところを全然出せなくて、悔しさもありました。

9 tree DAI on a stage
DAI on the stage

DAI:実は学生の頃から、「いつか、いつかミュージシャンになりたい」って、胸に秘めていた想いがあったんです。そこで、「よし、決めた、音楽やろう」って、魂が震えて目が覚めた感じがしたのを覚えてます。そっから、MEMEっていう、ビートメイカーに音楽のつくりかたのいろはをたくさん教えてもらって。1番安い機材を買って、音楽を始めたっていう感じです。

クマはもう音楽は辞めちゃって。最近は連絡もとってないですが、自分の好きやワクワクを追求し続けてると思います。でも、本当にありがたいですね。きっかけはあのタイミングで、ぼくの魂を震わせてくれたから。

K’zTyler:俺も音楽は好きでしたね。でも、めっちゃカラオケで歌うタイプではなかったし、当時、学生の時の友達間では、歌うのがなんか恥ずかしいみたいなノリがあって。Mahaeとは小学生の時からずっと一緒なんですけど、俺からしたら、Mahaeが歌ってるのとか、1番不思議だもん。一番歌わんキャラみたいな(笑)日記書いたり、絵を描いたりするのは割と好きだったけど、曲を書くのは想像もしてなかったな。

Mahae:いまだにカラオケ行ったら、なるべく歌わないでいいように立ち回ります(笑)

K’z Tyler: 「プレイヤーになりたいかも」と思ったのは、CCS recordsっていう、福岡の大学の先輩の影響が大きいと思います。高校までは沖縄に住んでたけど、例えば、レジェンドのChojiさんとかはもう、「別世界の人」みたいな感じでした。

Hip-Hopや音楽が好きだったし、イベントにも遊びに行ったりはしてたけど、自分がプレイヤーになるって選択肢は全然なかった。何かしらクリエイティブなことはしたいと思っていたけど、その方向に道があることに気づいていなかった。そんな中、同じ大学でめっちゃカッコいいことしてる人達おるやんみたいな。好きな音楽も近いし。初めて近場でやってる人を見て、「自分もできるかも」、みたいなきっかけをくれた人達です。

K'zTyler & CCS records
K’z Tyler, CCS records & friends

K’z Tyler:音楽をやり始めたのは、24歳の時。元々Hostel&Barのような人が集う場所を作りたくて、その立ち上げに携われるってことで上京してきたんですけど、ちょうどコロナのタイミングでその事業がなくなっちゃったんです。その会社で出会ったのが、DAI。バイブス似てたから、送別会とかでDef Tech歌ったりしてました(笑)

僕より一年先くらいにDAIは辞めたんですけど、そこからいろんなトラブルがあったり、人がいなくなったりして、気づいたらリーダーのポジションになってて。めちゃくちゃ働いてました。朝7時に行って、夜24時に帰るみたいな生活の繰り返し。働けば働くほど、「このままでいいのか?」って葛藤が大きくなっていきました。

そのタイミングで、久しぶりにDAIと会ったんです。家で酒飲みながらタイプビートにのっけて歌ってみるか、みたいな流れになった時、初めてラップしたり歌ったりしてみて。その時、「俺からこんなフローで出てくるんや」って驚きと楽しさを覚えた。それまで溜まっていたいろんな感情や葛藤を、音楽を通してなら表現できるかもしれないと思った。そのときに出来た曲が、「Don’t kill myself」っていう曲なんです。


Mahae:社会人になって1年目の時に、中学校の友達とよく遊んでたんだけど、その友達がパソコン買って曲作りはじめて、やろうぜって言われて。ノリで俺も買って始めたら、もう今そいつは辞めちゃってずっと俺だけやってました(笑)

大学ぐらいからヒップホップ聞き出したけど、それまではもう人並みに聞くぐらい。社会人になって音楽を作りはじめ、いつの間にかのめり込んで、続けてました。最近は好きで聴いてんのか、学ぶために聴いてんのか、もうわからなくなってきたな。でも、ずっと音楽の事を考えてるんで、大好きなんだと思います。

 

自己表現の探求

音楽への入りかたは、みんな全然違うんですね。でも、誰かしら、音楽を始めるきっかけとなっている人がいる。9treeとして音楽を始める前は、「将来やりたいな」と、思っていたことはあったんでしょうか?

DAI:社会起業家っていう、社会問題を解決するビジネスを起こす起業家になりたかったんです。それで、1社目の「社会課題」とされているところに着手している会社に入りました。19歳の頃にフィリピンに語学留学で6週間行った時に、分かりやすい言葉を使うと、“ストリートチルドレン”といわれる子供たちとよく遊んでて。自分はお金をかけてフィリピンに行ってるけど、彼らの選択肢はかなり狭まっている中で明らかな機会「格差」を感じたんです。

そこで、なぜ自分は日本人として生まれて、なぜこういう恵まれた機会があったのかって考え始めて、大学でもいろいろと海外に行ったり、インターンしたりしていました。

たしかに、自分と違うライフを生きている人を見ると、新しい気づきを得られることは多いですね。Mahaeさん、K’z Tylerさんは?

Mahae:俺は、まじで覚えてないです。多分、そんなになりたいって強く思った何かはなかったと思います。その場その場で決めて、「これが良さそう。これが良さそう」、それで今もそう。

K’z Tyler:Mahaeは、昔から割とあんまり変わらんよね。小中高からグループも一緒だし、そのグループの中でも1番近い存在で。俺ら割と沖縄の田舎だったから、ずっとサッカー、バスケ野球とかしてて、ゲームとかあんまりしなかったかも。

Mahaeは、昔からめっちゃ騒ぐとかはないけど、当時から独特な感性を持ってました。グラウンドにいたら、いつの間にか泥でめっちゃ綺麗な団子作ってるみたいな(笑)そういう専門気質みたいなとこもあったし、いい意味でマニアックでしたね。

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Mahae behind the artist photo

Mahae:小学校の時、俺らはボール持ってなかったけど、隣の隣で遊んでる他のグループがボール2個くらい持ってるみたいなときがあって。そこで、K’z Tylerが交渉してきてくれる。すっげえ交渉人だと思ってました。知らない人と話に行く時は、K’z Tylerが行く。

K’z Tyler:なんやかんや考えたら、いつの間にか級長とか、「まとめるポジション」になってたりとかは、よくあった(笑)家庭環境とかが影響してると思うんですけど、ヤンチャな友達と控えめな友達とかをいい感じに繋げるとか、知らない人でも話しかけるみたいなのは得意だったかも。

高校までは野球をやってて、めっちゃ甲子園行きたかったんです。けど上手くはいかず、終わってやりたいことがなくなっそこから1回フィジーに行ったんですよね。当時、「世界で1番自分たちが幸せな国」って言われてたんですけど、だいぶ貧乏な家庭が多いんですよ。この部屋(7畳くらい)で、12人ぐらい住むみたいな、電気もないから、ろうそくだけつけて。けどみんなに「今幸せ?って聞いたらほぼ全員が「幸せ」って言い切れる。それって凄えなって。フィジーって島国で発展も遅いし情報が少ない分、目の前のコトとか人にフォーカスしやすい環境だと思うんです。周りと比較するんじゃなくて、今ある環境で楽しみや幸せを見出せる。

そこで新しい価値観を知って、いろんなモノに対して好奇心が強くなった。海外行ったり、たまに旅に出たりしてて、ヒッチハイクしてヤクザみたいな人とか、ボートレーサーとか、大学いたら会えないような人にも会って。

結果、「人が集まる場所を作りたい」って思いになったんですよね。Hostel&Barとか、ゲストハウスみたいな、自然といろんな感性が集まる場所。一年くらいで閉じたんですけど、ハイボールしか置かない店を、福岡の先輩と一緒に立ち上げたりもしました。新卒で入った会社を辞めてから、バーで働いて社員になって空間作りを学ぶか、音楽を頑張るか結構迷ってて。

そのタイミングで、9treeのリリパにめっちゃ友達が来てくれてたんです。そのリリパが、最高で、「あ、これ音楽でできるわ。場所、作らんでもいいかも。自分の好きなことやろう」って思って、今みたいな。

9tree&fans
K’z Tyler & DAI at a party

 

「アーティストになりたい」わけではなかったんですね。どんなときに悩むことが多いですか?悩みではなくとも、これに対して疑問を感じることが多いな、ということがあれば知りたいです。

DAI:社会問題もそうだし、政治もそうだし、組織の中の社会とかも全部そうだけど、摩擦というか、いがみ合うというか。人と人、エネルギー同士だから、 それは起こりうるけど、もう少し穏やかにピースにみんな関わりあえたらいいなと思います。

みんな幸せになりたいだけだから、みんなでみんなの幸せをイメージして考えていけたらいいなって、最近は思います。別にいまは答えがあるわけじゃないけど、ふわっていつも思ってることですね。

K’z Tyler:DAIってずっとそんな感じ?

DAI:なんか基本喧嘩とかは好きじゃなかったし、喧嘩するんだったら譲る。姉ちゃんとはバチンと喧嘩したり、父親とのパッション同士、魂同士の衝突みたいなのはあるけど、怒りや憤りみたいな感情は元々弱かった。

K’z Tyler:俺は、自分と誰かの対人関係もそうだし、人のことを考えることが多いかもしれないです。たまに流されそうになる時もあったりするけど、「受け入れたい」「知ってみたい」みたいな感覚が強い。どんな人にも良いとこはあるし学べる事があると思ってるから「なんであの人ってこういう思考なんだろう」とかを、よく考えたりはします。良くも悪くも人を見ちゃうし、空気を察しちゃう。それを変えたいと思ってたんだけど、もう染みついてるから受け入れて強みにしようって、最近思うようになりました。

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K’z Tyler, DAI & Kethug

Mahae:改めて考えてみると、これってのはないですね。スポットでは、ガッと考えてるけど。

DAI:Mahaeは、今に没頭する感じだよね。

Mahae:何を考えたかって言われると、マジで覚えてないかもしれないです。飲み会に行って、あの時なんであんなこと言っちゃったんだろうとか思うことはあるけど(笑)

でも、「2度ないようにしよう」と、割と考えるかも。中学生のころ悪いことして、学校に呼ばれたりしたことがあって。父親にめちゃくちゃ怒られて、その後1週間くらい寝込むくらい落ち込んじゃって(笑)そこで深い反省をして、生まれ変わった気がするな。

DAI:ビートメイクとかも全部そう。だからMahaeは、いろいろな才能を開花させて深めていくのがすごくうまいよね。

Mahae:たしかに、そういう探求するのが好きなのかもしれないです。

mahae making music
Mahae designing a  jacket

 

共感と影響:互いに触れた心

「9tree」と自分の関係性については、どう考えますか?活動初期と今とでは、どんな変化があったのか気になります。

DAI:2023年7月に始めた時は、正直「9tree」って名前もまだしっくり来てなかったんです。自分たちの体に入ってない、ふわっとした状態でした。ちゃんとリリパでライブを本気でやったとはいえ、「9treeとは」みたいなのは、そもそも分かってなかった。

今になると、概念というか、存在。俺、K’z Tyler、Mahaeとかそういうのじゃなくて、「9tree」っていう存在のまわりに人がいて、音楽があって、漠然とその存在が、バッとあるみたいな。

K’z Tyler:そうだね。俺ら3人で9treeだけど、みんな(ファン、リスナーなど)もいて、「9tree」っていう認識が結構強いです。自分がやっているっていうフィルターを一旦外して、客観的に見られる存在なんですよね。俯瞰してみても、魅力を感じるし。一種のコミュニティとか概念的な感覚があります。

9tree & friends 
9tree stage

Mahae:俺は、「あなたは今日から9treeです」みたいなイベントがなかった*から、じんわりじんわりでしたね。3人の中でも俺が加入してる状態っていう認識があっても、やっぱ他の人たちは2人で9treeって思ってるのが結構長くありました。でも、「いや、3人ですよ!」って言いたい感じでもないからさ。

K’z Tyler:Mahaeから見ると、「9tree」ってどんな感じなの?もちろん、音楽やってるやつら、ってのがあると思うんだけど。

Mahae:もちろん友達でもあるし、仕事仲間っつったら、さっぱりしちゃうし。でも、音楽の現場で常に一緒にいたから、そういうマインドもあるし。いろいろ一緒に乗り越えてきてるわけだから、確実に普通の友達とは違う存在にはなってると思う。

*Mahaeは後から正式加入となったため

9tree behind the scene
9tree behind the scene

 

「9tree」っていう大きい傘、木の下に3人も、まわりにみんなもいるみたいな感じがしますよね。一緒に活動してくなかで、お互いから学んだとか、気づきを得たことは?

DAI:K’z Tylerからはもう完全に、「俯瞰力」と「まとめる力」。総合的に、ディレクションというか、監督としてすごいですね。水と油とね、うまく栄養を染み渡らせるように、円滑に行くようにやる視野の広さ。俺は火がついて、バーって行っちゃうタイプだから絶対真似はできないけど、すごいなと思うし、やっぱり人を巻き込む力があると思うし、人に応援される人間だと思います。

Mahaeは、めっちゃ自分の世界を持っていて。それを自分で大切に守っていける。そして掘っていける、職人というか、「超アーティスト」って感じ。マルチタレントとか、才能とかよりのワードよりは、「めっちゃアーティスト」だな。

K'zTyler as a director
K’z Tyler as a producer

 

それぞれの良いところを見て、自分自身にも取り入れようって思うことはありますか?

DAI:要所要所ではもちろん。でも、ふたりは自分ができないことばっかりできるから、取り込めない部分もたくさんあります。

Mahae:俺ができない事を二人ができるってことだしね。二人を見ていると、「自分は人付き合いとか苦手だよな」と思います。コミュニケーションが苦手なんだなとか。もう28年も生きてきて、これからどうしていこうかとは思っていないけど、正直に(笑)

K’z Tyler:俺はいいと思ったら取り入れようとするかもしれないです。Mahaeは、「無言実行型」で、ストイックだなって思います。人ってやっぱり、認められたいとかあると思うんですけど、言いたくなるとか、褒められたいとか全くなく、そういう素振りを見せないで淡々とやってるところを見ると、「カッケェな」って思います。DAIは、さまよう時もあるけど、自分の世界とか、「自分の直感を信じる力」みたいなのが、すごいと思う。そこは俺に足りないし、もっとつけたい力だなと思いますね。

mahae making music_2
Mahae making music

 

9treeとして一緒に活動してきて、お互いの関係性や印象について何か変わったことはありますか?

Mahae:音楽の話をすることがもちろん増えてるけど、別にそれを仕事の話っていうよりは、楽しみにしてることとかの延長で話してることが多いです。「こういうのやりたいな」とか、普通に楽しく話してるって感じ。

K’z Tyler:中学の時みたいに、「来週どこ遊びに行く?」みたいな感覚ですね。それが音楽に変わっただけ。でも俺多分、DAIの1番変わるとこ、近くで見てますね。その「ビジネス」のところから。

DAI:前は、呼吸が浅いっていうか、早くてテンション高いみたいな感じでした。ピースの感じは全然変わってないけど、余裕は持ってなかったかな。自分に対して確かに自信はあって、でも違和感を抱えたまま生きてた。めちゃくちゃエネルギーがあるけど、自分のその熱をどこにやっていいかわからない状態だったんです。

それが、ペリペリペリって剥がれたと同時に、すごい光がバーって差し込んで、「あ、こっちか」って感じかな。今は心地よく呼吸してる。させてもらってる。生かされてるなと思います。

dai sing black n w
DAI singing soulfully

DAI:K’z Tylerはそんな変わんないかもな。一緒に働いてた会社の時代の方が、もう少しのんびり、楽しく、ゆるくみたいな、営業の電話でふざけたりもしてたけど(笑)今は音楽への熱がすごくて、鉄を打ってる感じがします。

K’z Tyler:そのまま別のことやってたかもしれないけど、俺らがどこに進みたいとか、誰と一緒にやりたいとかって思うときのキーパーソンって、やっぱり「9tree」を通して会ってきてるんです。「9tree」っていう一つのきっかけを作れたから、みんなそれぞれやりたいことが少しずつ見えてきたんだと思います。

DAI:どっかにありそうだよね「9tree」像。僕たちはそれを信仰して、みたいな。

 

共通して「9tree」を、俯瞰して見られるような“概念”や“存在”だと捉えているのはおもしろいですね。それぞれが9treeとして活動してきたなかで、印象的だった出来事や、出会いは?

K’z Tyler:去年はだいぶ濃かったかな。 ”燈”が自分の中では1番大きい。ライブの数でいうと、一昨年の方が多かったんだけど、去年は1個1個のライブとかだけじゃなくて、制作の過程もだし、話し合いもそうだし、マジでいろんな事があった。

DAI:イベントとかフェスとかめっちゃあったし、瞬間瞬間はもちろんあるけど、この9treeで活動してきたこの2年半が、「でっかい出来事」って感じがします。いろんなバックグラウンドを持った人たちにこの3人で会いに行って、そこで音楽を表現する。今までの自分たちの人生からしたら、めっちゃ非日常、衝撃的な日々。それが、ライブも1ヶ月ぐらいない中で、輪郭を帯びてきました。今まで中にいたから形が見えなかったけど。

9tree-members-photo
9tree LIVE

K’z Tyler:ライブが、めっちゃあったよな。ライブがなくても次は制作がめっちゃ溜まってたり、翌週にはカレンダーに大体3つ、5つぐらいで9treeの予定が入ってる。で、翌月には…みたいな。呼んでくれたオーガナイザーや周りには、ほんと感謝してます。

Mahae:一人じゃできない経験をさせてもらってますね。

K’z Tyler:「青春!」みたいな。大人になってもこういうことできるんだな、って。

DAI:てか、大人になってからの方がめっちゃおもろいじゃんって思います。まだ、28、9歳でこれから超楽しみだよ。

 

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9tree
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K’z Tyler / DAI / Mahae

突如シーンに現れた2MC+1DJで構成される”Alternative Hiphop Crew” (MC:K’z Tyler & DAI + DJ:Mahae) 2022年に音楽活動を開始し「多面的な代弁者」をテーマに活動中。 ジャンルに囚われない自由なスタイル、2人 (K’z Tyler & DAI) の交わりが生み出す独特なグルーヴは、聴く人の体と心を揺らす。 2023年からはBack DJでありグラフィックやビートメイクも務めるMahaeが正式に加入。音楽だけでなくアートワークも自身達で手掛ける。 2024年には能登半島地震の被災者の方々へ向けたチャリティーソング「燈」をリリース。彼らと親交の深いアーティストが参加しており、総勢10人のマイクリレーソングとなっている。 「燈」MVはMcGuffin公式チャンネルにて公開中。 活動1年目にてりんご音楽祭2023、山口最大のHiphopフェスCHOSHU BEATSに2年連続で出演するなど、これから目が離せない最注目ユニットである。 今宵も誰かの心に届くよう魂を削り、叫ぶ。 A tree soul we got.