花が心を彩る【イベントレポート】合同展『Flower moment』で生まれる閃きとつながり。Native Wood(s) KIICHI SHIMOYAMA作品紹介
会場に一歩足を踏み入れると、多様な「花」が生み出す創造性で満たされた空間が広がっていた。
「花」をテーマにした合同展『Flower moment』が、11月23日(土)と24日(日)の2日間、東京・JOINT AROUND the CORNERで開催された。この展示では、5人のアーティストたちが手掛けた花に関連する作品が並び、それぞれ異なる美しさや個性が光りながらも、全体として調和した空間を作り上げた。
合同展主催者は、独自の世界観でポップなキャラを生み出すREIJI。自身も出展者としてブースを持ちながらも、テーマ、コンセプトの策定から空間デザイン、体験デザインまでを手掛け、視覚だけでなく五感で楽しめる工夫が随所に施されている。「花が開く様子と、アイディアの閃きってなんか似てるなって」と今回のテーマとコラボアーティストたちとの出会いについて語ってくれた。
開催日ごとに合同展示物の制作が行われ、その制作過程が来場者に公開された。抽選による来場特典も用意され、ただ鑑賞するだけでなく、積極的に参加する楽しみも提供されていた。ラッキーな人はその合同展示物が当たることも。さらには、往復の移動中も「花」というテーマを音楽で感じられるようイベントに合わせてプレイリストが公開されており、まさに花が開くように広がるREIJIのアイディアが落とし込まれていた。
細やかな技術と色彩で独自の世界を描き出すryota、鮮やかな色合いが魅力のタフティングアートを制作するyuta&michiru、ダンスやアパレル、楽曲制作を通じて新しい価値を創造するkooouyaらが出展。それぞれが「花」というテーマを多様なアプローチで表現していた。さらに、フラワーアーティストarigowatariが生花を使って装飾を施し、個性豊かなアーティストたちの作品が並ぶ会場全体をひとつの花園のように仕上げていた。
KIICHI SHIMOYAMAがつくる「花」
会場内では、カラフルでポップな作品や触覚的な要素を取り入れたユニークなアートが目を引く中、アーティストクルーNative Wood(s)に所属するKIICHI SHIMOYAMAの作品は異彩を放っていた。他の展示物の華やかさとは対照的に、シンプルでクールな美しさをまとう彼の作品と制作意図についてお話を伺うことができた。
まずは、フェンスに絡まるモノトーンな百合の花々と、ビビッドなオレンジ色の「MODERN SOCIETY(現代社会)」という文字が合わさった作品。百合の花言葉「純粋」。誰しも生まれたときは純粋だが、現代社会のしがらみや、悩みが絡み合うことで、一人ひとりが「見えにくくなっている」さまを暗示している。一方でネガティブな印象を与える作品はつくりたくないという想いもあり、「UNDERSTANDING」「LOVE」「GROW」といった、ポジティブな要素をとりいれることで希望を感じさせる仕上がりになっている。
つぎに、KIICHIの愛車と「INDICA DRIVE」の文字が入った夜のドライブをイメージした作品。鮮やかな赤の道路が、天に上る赤、緑、柔らかいグレーの煙とつながっている構図が印象的であり、Native Wood(s)のポスター的な位置づけでもあるという。個展でも販売していたドッグタグのネックレスにも刻まれた「心配しないで、森に行って深呼吸して一回リラックスしよう」を思わせるワンシーンを象徴している。
そして、「LIFE」「DAILY」「TIME」の異なる時間単位をあらわす文字列が縦に並ぶ作品。生き生きとしたライトグリーンから徐々に白くかすむ文字の下には「生命の誕生」を表現した女性の体から「純粋/ピュア」を意味する一凛の百合の花が咲いており、個人の唯一無二性とその輝きを具現化している。
今回は、Native Wood(s)メンバーなしで参加する初めての展示会だというが、「他のアーティストの作品はポップでカラフルなものが多く、そこから刺激もあり、学ぶことがたくさんあった」と語る。また、「yuta&michiruのタフティングアートに自分の絵を落とし込むイメージも沸いた」と、アーティスト同士のコラボレーションの可能性についても話していた。花をテーマにした作品についても、「(もともと花を見たり描いたりするのは好きであるが)これまで花を主テーマにすることは少なかったが、押し花やドライフラワーを使った新しい表現にも挑戦してみたい」と今後の展望を語った。
KICHI SHIMOYAMAがジャケットを手掛けた、Native Wood(s)最新曲『Peace Out』はこちらから。メンバーへのインタビュー記事も公開中。
展示会を通じて、アートがもたらす新しい閃きや共感、そして他のアーティストからの刺激を受けたKIICHI SHIMOYAMA。彼の作品が今後どのように進化し、新たな表現へとつながるのか、また今回の合同展で生まれたコラボレーションの可能性がどのように展開していくのか、大きな期待が膨らむ。
お話を伺ったアーティスト
KIICHI SHIMOYAMA
群馬県と長野県の県境を拠点にするアーティスト集団《Native Wood(s)》のメンバーであり、アパレルブランド《Greened mind》のデザイナー。幼少期から父親の影響で絵を描き始め、自然や心、エロティシズムからインスピレーションを受け点描技法で表現する。6月には東京で初の個展、自己対話を意味する『Mental Dialogue』を開催した。
KICHI SHIMOYAMA:Instagram
Native Wood(s):Instagram / YouTube / Spotify / Apple Music
Greened mind™:Instagram / Stores
KICHI SHIMOYAMAがジャケットを手掛けた、Native Wood(s)最新曲『Peace Out』はこちらから。メンバーへのインタビュー記事も公開中。
合同展概要
《Flower moment》
開催期間:11月23日(土)~24日(日))
場所:JOINT AROUND the CORNER
内容:5組のクリエイターが花をテーマに表現。閃きを形に皆さんが笑顔になれるエンターテイメントを目指し、それぞれの魅力が連なって新たな魅力を開花させる
参加アーティスト一覧
REIJI / PAiNT THE WORLD:Instagram
RYOTA / T.D brother:Instagram
KIICHI / greend mind:Instagram
YUTA & MICHIRU / checonuts:Instagram
Kooouya / POOOL :Instagram
arigowatari /あいごん: Instagram
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